子育て中の方の中には教育費を不安に思っている方が多いですよね。皆さんはお子さんの教育資金をいくら準備する予定ですか?また、どのように貯めていますか?
ソニー生命保険株式会社が2022年3月に結果を発表した「子どもの教育資金に関する調査」によると、「子どもの教育資金に不安を感じる」と回答した人は全体の71.7%と高い割合でした。子どもの就学段階別にみると「不安を感じる」と回答した割合が最も高いのは中高生の保護者であり、最も教育資金が必要となる大学進学を前に不安が高まっていることが予想されます。
また、同調査にて教育資金に不安を感じている親を対象に不安に感じる理由を聞いたところ「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」という回答が54.5%で最多でした。
不安に思っている人が多いんだね。確かに教育費が大変ってよく聞くから不安…。
結局全部でいくらくらいかかるの?
おおよその金額が分かると計画を立てやすくなるよ!
小・中・高の校種別に、公立と私立でいくらくらいかかるのか見ていこう。
この記事で分かること
- 小学校から高校までにかかる教育費の平均
- 公立・私立による教育費の違い
このブログは「子育てファミリーの教育費への不安を減らすこと」を目標にしています。今回は学校ごとに公立・私立で年間いくらかかるのかを見ていきます。
学習費の内訳を載せた後にに小・中・高で公立・私立どちらに進むのかパターン別にかかる総額を載せているので、気になるところからお読みください。
目次
教育費の平均
文部科学省が隔年で実施している「子どもの学習費調査」の令和3年分の結果をもとに、小学校から高校(全日制)までにかかる学習費の平均を示します。
学習費に含まれるもの
- 学校教育費(入学金、授業料、通学費、図書・学用品費、校外活動費など)
- 学校給食費(給食費として支払った経費)
- 学校外活動費(塾や家庭学習用の補助学習費、習いごとにかかる費用など)
なお、今回の調査にある金額はすべて1人当たりの児童、生徒に1年でかかった金額です。
また、結果を分かりやすくするため特に言及がない場合は○万○千円というように百の位を四捨五入した金額を示します。
※文部科学省のデータは幼稚園~高校までの学習費を示していますが、保育園に通う児童も増えている現状を踏まえ今回の記事では小学校~高校の学習費をまとめます。
校種、公立・私立ごとの1年あたりの学習費
まず全体の傾向を示すために各校種、公立・私立別に1年あたりいくらかかるかを示します。
ここからは学校ごとに公立・私立で何にいくらかかるのか詳しく見ていきます!
【小学校】学習費総額 公立 35万3千円 私立 166万7千円
次に校種ごとに見ていきます。まずは小学校です。
小学校の学習費総額
公立小学校 35万3千円/年
私立小学校 166万7千円/年
私立小学校は公立小学校の4.7倍もお金がかかるんだね!
私立小学校に通う児童は全体の1.3%だよ。
ここからは学習費の内訳を見ていきます。なお、詳しく扱わない学校給食費については以下の通りです。
学校給食費
- 公立小学校:3万9千円
- 私立小学校:4万5千円
【小学校】学校教育費
まず学校教育費として1年間にかかるお金の平均額を示します。
学校教育費(授業料など)
- 公立小学校:6万6千円
- 私立小学校:96万1千円
授業料や通学費という学校教育費、学校給食費、塾や習いごとという学校外活動費を合計した学習費の総額は上記の結果でした。また、公立・私立別の学校教育費の内訳を見ると以下の表のとおりになります。
※かっこ内の数字は学校教育費全体を100とした時に各項目が占める割合
公立小学校では各教科で必要になる学用品や体操服などにかかるお金が最も多く、約37%を占めています。これは金額としては約2万4千円です。その他の項目としてはランドセル代を含む通学関係費が約2万円、学校納付金が約8千円です。公立小学校は授業料や教科書にかかるお金がないぶん、体操服や学用品にかかるお金が主な支出となっています。
一方の私立小学校では授業料が最も高い割合となっており、約53万6千円です。これは学校によってかなり差がある部分ですが、私立小学校での学習費は授業料が多くを占めることは間違いありません。また、施設整備費等を含む学校納付金が約16万3千円、電車代等を含む通学関係費は約10万4千円です。
【小学校】学校外活動費
学校外活動費は補助学習費とその他の学校外活動費に分けられます。補助学習費に含まれるのは家庭内学習費、学習塾費、通信教育費などです。その他学校外活動費は芸術文化活動(音楽、芸術など)やスポーツ・レクリエーション活動(スポーツ系の習いごとなど)を指します。
補助学習費、その他学校外活動費を合計した学校外活動費の合計金額(年額)は以下の通りです。
学校外活動費(塾・習いごとなど)
- 公立小学校:24万8千円
- 私立小学校:66万1千円
また、学校外活動費のうち補助学習費は公立では12万円(学校外活動費のうちの48.7%)、私立では37万8千円(学校外活動費のうちの57.2%)でした。私立小学校の中には附属中学がある学校も多いと思いますが、中学受験をしない場合でも補助学習費に公立の3倍以上のお金がかかることが分かります。
補助学習費のうち、通信教育や家庭教師を使用している世帯は公立が41.9%、私立が52.7%です。小学校の場合は他の校種に比べてこの項目への支出が多いので金額を示します。
通信教育費
- 公立小学校:平均5万5千円(最頻値は5万円未満)
- 私立小学校:平均10万円(最頻値は5万円未満)
通信教育(進研ゼミやスマイルゼミ)や家庭教師を使用する場合、多くの家庭で年間にかかる金額は5万円未満のようです。しかし、平均額は5万円より高いので家庭によってはこれらの学習に多くの支出をしていることが分かります。
では、小学生のうちから学習塾に通う場合はどの程度お金がかかるのでしょうか?首都圏を中心に中学受験をする児童も増えていますが、全国的な統計データによると学習塾に通う児童は公立の場合が38.9%、私立の場合は73%です。
学習塾への支出
- 公立小学校:平均20万8千円(最頻値は20万円未満)
- 私立小学校:平均37万5千円(最頻値は40万円以上)
小学校受験を考える場合は授業料などの学校教育費以外にも金銭的負担があることをしっかり理解しておく必要があります。
【中学校】学習費総額 公立 53万9千円 私立 143万6千円
次に公立と私立の中学校1年間でかかるお金を見ていきます。
中学校の学習費総額
公立中学校 53万9千円/年
私立中学校 143万6千円/年
私立中学校は公立中学校の2.7倍もお金がかかるんだね!
私立中学校に通う生徒は全体の7.7%だよ。
なお、小学校と同様学校給食費については言及せずに金額のみ示します。
学校給食費
- 公立中学校:3万8千円
- 私立中学校:7千円
【中学校】学校教育費
まず学校教育費として1年間にかかるお金の平均額を示します。
学校教育費(授業料など)
- 公立中学校:13万2千円
- 私立中学校:106万1千円
授業料や通学費という学校教育費、学校給食費、塾や習いごとという学校外活動費を合計した学習費の総額は上記の結果でした。また、公立・私立別の学校教育費の内訳を見ると以下の表のとおりになります。
※かっこ内の数字は学校教育費全体を100とした時に各項目が占める割合
公立中学校では授業料負担がありません。また、公立小学校と同じく教科書は無償で配布されるため、大きな出費としては通学に使う自転車などの購入費用と教科書以外の教材購入費用があげられます。具体的には通学関係費が約4万円、図書・学用品が約3万2千円、教育外活動費が約2万4千円です。
一方私立中学校の場合は私立小学校と同様に学校教育費の多くを授業料が占めています。私立中学校の年間の授業料は約47万6千円であり、私立小学校の約53万6千円よりは安いものの公立中学と比較した際の家計への負担は明らかです。その他の項目としては学校納付金が16万3千円、通学関係費が15万2千円です。
【中学校】学校外活動費
次に塾や習いごとという学校外で教育活動に支払う学校外活動費を公立、私立ごとに示します。
学校外活動費(塾・習いごとなど)
- 公立中学校:36万9千円
- 私立中学校:36万8千円
学校外活動費のうち補助学習費は公立では30万3千円(学校外活動費のうちの82.2%)、私立では26万2千円(学校外活動費のうちの71.3%)でした。
学習塾に通う生徒の割合は公立が70.4%、私立は53.9%です。学習塾に通う場合は年間いくらかかるのでしょうか?学習塾に支出した(子供が塾に通った)世帯のみの結果をみると以下のようになります。
学習塾への支出
- 公立中学校:平均35万6千円(最頻値は40万円以上)
- 私立中学校:平均32万6千円(最頻値は40万円以上)
この結果から、公立でも私立でも塾に通う場合年間40万円以上支出する可能性が一番高いということが分かります。
【高校】学習費総額 公立 51万3千円 私立 105万4千円
ここまで小学校、中学校公立・私立ごとの学習費の違いを見てきました。最後に高校の学習費を公立・私立ごとにまとめます。
高校の学習費総額
公立高校 51万3千円/年
私立高校 105万4千円/年
私立高校は公立高校の2.1倍もお金がかかるんだね!
私立高校に通う児童は全体の34%だよ。
小中との大きな違いとして「学校給食費がないこと」「公立でも授業料がかかること」があげられます。しかし授業料無償化の影響で世帯収入によっては授業料が実質無償になります。
実質無償化の対象にな条件
- 高等学校等に在学し、日本国内に住所がある
- 世帯年収が950万円以下(概算)
上記の2つの条件を満たせば授業料の一部、または全額の支援を受けられます。ただし支給額の上限は世帯の構成、世帯収入、通う学校の種類によって異なるので注意しましょう。
現行の制度は令和2年4月から始まったものですが、今後変更される可能性もあるため詳細な情報は随時確認が必要です。(文部科学省リーフレット)
【高校】学校教育費
ではここからは公立高校と私立高校の学校教育費の平均をみていきます。
学校教育費(授業料など)
- 公立高校:30万9千円
- 私立高校:75万円
授業料や通学費という学校教育費、学校給食費、塾や習いごとという学校外活動費を合計した学習費の総額は上記の結果でした。また、公立・私立別の学校教育費の内訳を見ると以下の表のとおりになります。
※かっこ内の数字は学校教育費全体を100とした時に各項目が占める割合
公立高校では自転車購入費や定期代といった通学関係費が約9万1千円であり、学校教育費の30%を占めています。また、高校では教科書を購入する必要があるため約5万3千円かかっています。授業料も約5万2千円と図書・学用品費とほぼ同じという結果ですが、これには授業料無償化の影響があるでしょう。
私立高校では約28万8千円の授業料がおよそ38%であり、私立小中ほどではありませんが学校教育費の中で最も大きな部分を占めています。その他の項目では通学関係費が約12万9千円、学校納付金が約11万6千円と、2位以下も公立高校よりも高い金額となっています。
【高校】学校外活動費
塾や習いごとに支払う学校外活動費は公立と私立でどのように異なるのでしょうか。
学校外活動費(塾・習いごとなど)
- 公立高校:20万4千円
- 私立高校:30万4千円
学校外活動費のうち補助学習費は公立では17万1千円(学校外活動費のうちの84.1%)、私立では24万7千円(学校外活動費のうちの81.1%)でした。
学習塾に通う生徒の割合は公立が33.2%、私立は38.7%です。学習塾に支出した(子供が塾に通った)世帯のみの結果をみると以下のようになります。
学習塾への支出
- 公立高校:平均36万3千円(最頻値は40万円以上)
- 私立高校:平均44万7千円(最頻値は40万円以上)
これら結果から、高校では中学校と比べて学習塾に通う生徒の割合は減るものの、塾に通った場合の支出は中学校よりも高くなる傾向にあることが分かります。
進学パターンごとの総額
最後に進学パターンごとの学習費の総額をまとめます。まずはグラフで総額を比較してみましょう。
すべて私立校に進んだ場合、中学・高校が私立の場合と比べても総額が倍近い金額になることが分かります。
次に、進学パターンによってすべて公立校に進学した場合と比較していくらプラスになるのかを見ていきます。
進学パターン | 学習費総額 | すべて公立との差額 |
---|---|---|
すべて公立 | 527万1千円 | ー |
高校のみ私立 | 688万5千円 | +161万3千円 |
中学・高校が私立 | 957万2千円 | +430万1千円 |
すべて私立 | 1746万円 | +1218万9千円 |
グラフ、表ともに小学校から私立に進んだ場合は金銭的負担が一気に重くなることが読み取れます。
ここまで詳しくみてきたように公立・私立には学習費以外にも様々な違いがあります。進学先の学校によっても異なる部分が多いですが、学校に何を求めるかによって公立・私立どちらが合うか変わってきます。進学先を決める際は家庭の家計バランスをよく考えたうえで決定するようにしましょう。
また、その際は学費だけでなく今回の記事で説明しているような学校教育費、学校外活動費についても考慮することを覚えておいてください。
公立・私立ごとの教育費総額のまとめ
今回の記事では小学校・中学校・高校という校種別に、公立・私立それぞれで教育費(学習費)がどの程度異なるのかを見ていきました。一般的に公立と私立の違いとしては授業料があげられることが多いと思います。しかし内訳を細かく見ていくと授業料以外の部分も大きく違うことが分かりました。
あくまでも今回の記事を作成するために使用したデータ(令和3年度子供の学習費調査)が示すのは平均です。実際お子さんが進学する学校の費用とは差がある可能性も大いにありますので、特に受験を考える際は学力面に加えて金銭的な負担も考慮するようにしましょう。
特に塾などの学校外活動費は必要になる人とならない人で金額に大きな差が出ます。子どもが塾や習い事に通う場合は今回取り上げた学校外活動費の平均額よりも高い金額が必要になる可能性が高いことを覚えておきましょう。
小学校から高校の12年間で必要になる教育費をまとめて見ていきました。金額の大きさに「こんなお金用意できるの…?」と不安になりますよね。教育費は額が額なだけに不安も大きくなりますが、時間をかけて準備しやすいという特徴があります。早めに見通しを立てて備えていきましょう!