大学の学費って高いって聞くけど、いくらくらいするんだろう…
大学4年間でかかる学費は国公立大学で約243万円、私立大学で約469万円と高額だよ!
私立大学で理系の学部に進むとさらに高くなるし、一人暮らしをする場合の仕送りの平均額は1年で95.8万円だよ。
そんなにかかるの?!準備できるかなぁ…
確かに大変だけど、大学で使うお金には「生まれたときから必要になるまで準備する時間がある」という特徴があるよ。今回は15年・10年・5年という準備期間別にどんなスケジュールで貯金すればいいかのも計算したから参考にしてね。
教育費の最後の山になるのが大学関係のお金です。高校までと比較して必要になるお金の桁が変わってくることもあり、日々の生活費をやりくりして捻出するのはほぼ不可能と言えるでしょう。その分不安も大きい部分だと思いますが早めに準備を始めれば確実に貯めることができます。
学費以外にも受験料や入学金が必要な上、自宅から通えない場合は下宿の家賃や引っ越し関係の費用もかかります。
今回の記事では学費以外も含めて大学4年間で必要になるお金についてまとめます。
この記事を読んで分かること
- 大学4年間で必要になる学費
- 学費以外に必要になるお金
- 教育資金を貯めるためのスケジュール
目次
国立大学 242万5,000円
初年度(入学金)28万2,000円
学費(年間)53万5,800円
入学金+4年間学費:242万5,200円
※国立大学の入学料と授業料には国が示す標準額があり、ほとんどの大学がそれに準じているためその額で計算しています。
国立大学の学費は年間約54万円なので、入学金と学費を合わせても約243万円です。4年で割ると1年間の平均が約61万円、月額でも約5万円とお財布に優しいことが分かります。
また、国立大学の特徴として全学部で学費が同じという点があげられます。これは特に医療系、理系に進学する場合にとても助かる制度です。
私立大学の場合は理系学部の方が文系学部よりも学費が高い傾向にあり、医学部や薬学部はさらに高額なことがほとんどです。そういった理由もあり国公立の医療系、理系学部は特に倍率が高くなりがちですが、一つの目標として目指す価値はあると言えそうです。
公立大学 235万7,000円
入学金 39万1,305円
学費(年間)53万6,363円
入学金+4年間学費:253万6,757円
※公立大学には設置されている地域内から入学する入学生の方が入学金が安い場合がありますが、今回の金額は地域外からの入学生の平均額です。
市立大学や県立大学を含む公立大学は大学数、学生数ともに拡大の一途をたどっています。具体的には平成元年度に39大学6万人であったものが、令和4年度は99大学16万人と増加しており(引用:文部科学省)、34年間で大学数は2.5倍、学生数は2.7倍になっています。
国立大学と比較すると偏差値がやや低い傾向にあること、地域密着型の学部が多いことが特徴です。国立は難しいけど…という場合の選択肢として考えておくといいかもしれません。大学によっては設置されている場所の交通の便が悪いこともあるようなので、候補に入れる際はぜひ見学に行って実際の雰囲気を感じることをお勧めします。
私立大学 469万円
入学金:24万6,000円
施設設備費(毎年):18万円
学費:93万1千円
4年間合計:469万円
※入学金+(授業料+施設設備費)×4
国公立大学と比較すると学費の高さが際立つ私立大学ですが、設備が整っていたり就職活動の支援が手厚かったりと、私立ならではの特徴を持つ学校も多いです。
後述する一人暮らしにかかる費用を考えると、国公立大学に進学して下宿をするよりも自宅から通える範囲の私立大学に進むほうが費用としては安くなります。
私立大学は大学によって初期費用や学費が大きく異なります。また、同じ大学でも学部学科ごとに細かく学費が設定されていることが多く、なにも調べずに入学すると後から驚くこともあります。
ここからは参考として文系、理系、医歯系、その他に分けて学費の平均額を見てみます。あくまでも平均額なので実際に志望校を考える際は各大学のパンフレットやホームページで確認してください。
学部の例
- 文科系学部(文・教育、神・仏教、社会福祉、法・商・経)
- 理科系学部(理・工、薬、農・獣医)
- 医歯系(医、歯)
- その他(家政・芸術・体育・保健)
※4年間合計は入学金+(授業料+施設設備費)×4
学部 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 4年間合計(医歯系以外) |
---|---|---|---|---|
全体平均 | 24万6,000円 | 93万1千円 | 18万円 | 469万円 |
文科系 | 22万6,000円 | 81万5,000円 | 14万8,000円 | 407万8,000円 |
理科系 | 25万1,000円 | 113万6,000円 | 17万9,000円 | 551万1,000円 |
医歯系 | 107万6,000円 | 288万3,000円 | 93万1,000円 | 1633万2,000円(6年) |
その他 | 25万5,000円 | 96万9,000円 | 23万6,000円 | 507万5,000円 |
平均額では 文系 < その他 < 理系 < 医歯系 となります。
ただしその他に含まれる学部の中でも美術や音楽という芸術関係の学部は学費が高額なことが多いです。各大学・学部の学費についてはパンフレットやホームページで確認してください。
大学への納入金の変遷(昭和50年〜令和3年)
大学へ納める入学金や授業料(納入金)は変動しています。昭和50(1975年)から令和3年(2021年)までの47年間でどの程度変化したかをグラフにしました。
このグラフから分かる通り、国立大学・私立大学ともにかかる費用は右肩上がりとなっています。
日銀は「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めています。最近の物価高も考えると、大学でかかる費用が今後今より安くなるという可能性は考えにくいでしょう。我が子たちが入学する年にいくらになっているかは分かりませんが、少なくとも現時点での学費は早めに準備を進め、目標額が貯まっても油断せず節約と貯金を続けたいですね。
平成16年~令和3年の期間での入学金・授業料の変化
上のグラフでは昭和50年から令和3年にかけての47年間という長期間での変化を見ましたが、今お子さんが小さい方にとってはもう少し短い期間での変化が分かると将来の学費のイメージがしやすくなりますよね。
そこで、ここからは国立・私立別に平成16年(2004年)から令和3年(2021年)までの18年で入学金と授業料がどの程度変わったのかを見てみます。(文部科学省「国公立私立大学の授業料等の推移」を参考に計算)
【国立大学】過去18年での変化
入学金:28万2,000円→28万2,000円(変化なし )
授業料:52万0,800円→53万5,800円(+2.9%)
4年間合計で6万円増
国立大学の入学金は平成14年(2002年)に現在の28万2,000円になって以降20年変わっていません。それまでは1~2年ごとに増額されており、平成元年は18万5,400円と今より10万円も安い金額でした。
授業料に関しては平成17年(2005年)に現在の53万5,800円になってから17年間変わっていません。平成17年以前は入学金と同じく授業料も頻繁に値上がりが行われており、平成元年には33万9,600円と現在の約6割の値段でした。
国立大学の多くは国の定める標準額を授業料として設定していますが、2019年に東京工業大学と東京藝術大学、2020年に千葉大学、一橋大学、東京医科歯科大学が値上げを行いました。今後もこの傾向が続けば同じ国立大学の中でも学費の差が生まれることになります。
では私立大学の入学金と授業料の変化を見てみましょう。
【私立大学】過去18年の変化
入学金:27万9754→24万5,951(-12.1%)
授業料:81万7952→93万0,943(+13.8%)
4年間合計で約41万8,000円増
私立大学は平均なので大学によって差がありますが、全体としては入学金は下がったものの授業料は増額しています。入学手続きの際に1回支払うのみの入学金と異なり、毎年必要になる授業料の値上がりは家計への負担が大きいです。
この先も少子高齢化が進む一方であることを踏まえると、今後授業料が今よりも安くなる可能性は少ないと思われます。しかし一方で子育て世帯の支援のために高等教育の無償化が進む可能性もあります。どちらにせよ大きなお金に関係することなので今後の政策を注視していく必要がありますね。
高校卒業後の進路・国公立大学に進む割合
ここまで大学の学費について様々なデータを取り上げてきましたが、実際に高校を卒業した後に大学や専門学校という高等教育機関に進学する割合はどの程度なのでしょうか。
文科省が2022年12月に発表した学校基本調査によると高校卒業後に高等教育機関へ進学する割合は83.8%です。内訳は以下のようになっています。
高校卒業後の進路
大学進学 54.9%
専門学校進学 24.0%
短大進学 4.0%
高等専門学校4年生進学 0.9%
就職など 16.2%
また、大学の中で国公立、私立に在学する学生数と割合は以下の通りです。
在学者の割合
国立大学 597,450名(20.5%)
公立大学 160,438名(5.5%)
私立大学 2,160,110名(74%)
つまり、大学に進学する高校生のうち国公立大学に進学するのはおよそ4人に1人です。
就職のことを考慮すると地方国公立大学に進学するよりも地元、あるいは大都市の私立大学へ進学する方がいいという考えもあります。これについては居住地や希望する学部によっても異なりますが、できれば高校一年生などなるべく早い段階で進路の方向性を話し合っておくことが大切です。
進路決定の際は、実際に通う本人の考えとお金を払う保護者の方の希望をよくすり合わせることが必要です。お金のことを考えると国公立大学へ進んでほしいという保護者が多いかもしれませんが、4人に3人は私立大学へ進学するという実情を踏まえると私立大学へ進学しても大丈夫なように教育資金を準備しておくことが望ましいでしょう。
入学する大学への支払い以外に必要なお金
ここまでは大学への入学が決定した後に必要になる金額を見てきましたが、実際は入学が決定する前に受験料や交通費、入学しなかった学校への納付金など様々な出費が発生します。
また、進学先が自宅から通えない距離にある場合は一人暮らしを選択することになります。その際の引っ越しにかかる費用や入居手続きに必要な金額、一人暮らしをする子供への仕送り額などもまとめます。
私大入試の受験料に要注意
大学進学を希望する場合、高校受験までと大きく異なるのが受験の種類と回数の多さです。河合塾のデータによると大学受験の際に2校以上受けた人の割合が約90%と、多くの生徒が複数校を受験することが分かります。
また、一つの大学しか受けない場合でも指定校推薦など確実性の高い入試方式を利用する場合を除くと複数の受験方法や受験日程を組み合わせて受験することが多いです。
以下に大学入試の受験料をまとめます。
受験料
- 大学入学共通テスト 18,000円(3教科以上受験)
※2021年度入学者選抜よりセンター試験から変更 - 国公立大学二次試験 1万7,000円(前・後期受験の場合は3万4,000円)
- 私立大学 一般入試方式 3万〜3万5,000円
- 私立大学 共通テスト利用方式 1万5,000〜2万円
最近はクレジットカードで受験料を決済できる場合も多く、焦ってなるべく多くと思って出願すると翌月驚くような金額になっていることも…。受験に関して必要となる金額は多めに見積もっておくこと、早めに計画を立てること、の2点が重要です。
受験~入学までにかかる費用は60万円以上
日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」(2021年12月発表)を参考にすると進学先ごとの入学費用は以下の通りです。
入学費用とは
・受験費用(受験料、受験のための交通費・宿泊費)
・学校納付金(入学金、寄付金など)
・入学しなかった学校への納付金
の合計額
入学費用の平均
国公立:67.2万円
私立文系:81.8万
私立理系:88.8万
引用:日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」(2021年12月発表)
県外など当日出発では間に合わない場所の学校を受験する場合は交通費と宿泊費も必要になります。保護者が同行する場合は2人分となり負担も大きくなります。また、私立大学の場合は受験機会が複数回ある場合が多く、学校によっては複数回受ける場合は受験料が割引になるなど色々な制度があります。年によって変更の可能性もあるので自分が受験する年の募集要項は必ず確認しましょう。
晴れて合格をした後も、大学によっては入学金+施設整備費+前期の授業料で100万円近くが一気に必要になる場合もあります。いざという時すぐ出せるお金を100〜200万円用意しておくと慌てずに済みそうです。
合格したことに喜んで入学手続きを忘れる人は案外多くいます。各種手続きは合格発表から1~2週間以内が〆切のことが多いので忘れずに行いましょう!
その際、先に合格したすべり止め校の手続きのタイミングと本命校の合格発表のタイミング次第ではすべり止め校の入学金が無駄になる場合も。入試のスケジュールを考える際は合格発表と手続きのタイミングまで考慮するようにしましょう。
下宿にかかる費用は住む場所で大きく変わる
進学先が自宅から通えず下宿をする際は、家賃以外にも入居時や引っ越しにかかる費用が発生します。
JASSO(日本学生支援機構)が実施した令和2年度学生生活調査によると大学生の居住形態は以下のようになっています。最も多い数字を赤色で表記しています。
大学 | 自宅 | 寮 | 下宿・アパート |
---|---|---|---|
国立 | 35.7% | 6.2% | 58.1% |
公立 | 43.7% | 3.3% | 53.0% |
私立 | 65.2% | 7.2% | 27.6% |
「国公立大学に進学するのであれば県外(下宿)でもいいが、私立ならば自宅から通える範囲」という保護者の意向が表れた結果と言えそうです。
また、家賃平均は下記の通りです。年額、月額の順に表にして示します。
大学 | 寮 | 下宿・アパート |
---|---|---|
国立 | 22万7,000円 | 53万0,400円 |
公立 | 27万7,400円 | 49万3,000円 |
私立 | 31万5,800円 | 48万3,000円 |
全体平均 | 30万0,900円 | 49万7,700円 |
大学 | 寮 | 下宿・アパート |
---|---|---|
国立 | 1万9,000円 | 4万4,000円 |
公立 | 2万3,000円 | 4万1,000円 |
私立 | 2万6,000円 | 4万円 |
全体平均 | 2万5,000円 | 4万1,000円 |
一人暮らしをする場合でも寮を選択すると家賃が半額程度になります。大学によっては寮に入れるのは2年生まで、などルールがある場合もあるので寮を検討する際は確認しておくといいですね。
また、この家賃は全国平均なので都市部であればこの金額よりも高くなります。家賃や生活費は居住する地域によって大きく変わります。平均を参考にしながら居住予定の地域の物価を加味して検討しましょう。
日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」によると大学進学に際する入居、引っ越しにかかった金額の平均は38.7万円です。ただし50万円以上かかった世帯も35.5%あるので、住む地域や物件によっては50万円以上必要になる可能性もあります。
仕送り額の平均は月額約8万円
一人暮らしの場合、仕送りが必要になることも多いですよね。大学生の平均の仕送り額は年間95.8万円(月額7.9万円)です。4年で383.2万円という大きな額です。
仕送りが全くない世帯が10%ある一方で、仕送りが年間100万円(月額8.3万円)以上の世帯が43%と、二極化の様子がうかがえます。
進学先・住み方別に必要な金額まとめ
ここまでに国公立・私立大学で必要な金額、引っ越し・下宿に必要なお金、仕送り額についてまとめました。分かりやすくするため進学先、自宅・下宿別に4年間で必要な金額を表にします。
なお、見やすくするために大学は国立・私立(文系、理系)の3つ、居住形態は自宅と下宿の2つとしました。
下記の費用以外にもかかるものはありますが、概算として参考になればと思います。
大学 | 入学金 | 学費 | 施設設備費 | 入居 引っ越し | 仕送り | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
国立【自宅】 | 28万2,000円 | 214万3,200円 | - | - | - | 242万5,200円 |
国立【下宿】 | 28万2,000円 | 214万3,200円 | - | 38万7,000円 | 383万2,000円 | 664万4,200円 |
私立(文系) 【自宅】 | 22万6,000円 | 326万円 | 59万2,000円 | - | - | 407万8,000円 |
私立(文系) 【下宿】 | 22万6,000円 | 326万円 | 59万2,000円 | 38万7,000円 | 383万2,000円 | 829万7,000円 |
私立(理系) 【自宅】 | 25万1,000円 | 454万4,000円 | 71万6,000円 | - | - | 551万1,000円 |
私立(理系) 【下宿】 | 25万1,000円 | 454万4,000円 | 71万6,000円 | 38万7,000円 | 383万2,000円 | 973万円 |
教育費(400万)を貯めるスケジュール案
では実際に教育費を貯めるためにはどのような計画を立てて貯金すればいいのでしょうか?
今まで見てきたように大学でかかる教育費は進む大学の種類や住み方によって異なります。ただ、子どもが幼い時から進路を想定しておくのは難しいですよね。
進路面談をしていても、保護者の方は「絶対に国公立志望です!」と言っているけど子どもは別に国公立にこだわりはないし、そもそも学力的に難しいというパターンは少なくありません。もちろん勉強してもらうに越したことはありませんが、国公立に進む高校生は4人に1人と思うと私立大学への進学を想定しておく方が賢明です。
ということで今回は私立大学の文系学部に進学し、自宅から通う場合を想定して400万円準備することを目標にします。
400万円を貯める期間が15年・10年・5年だった場合のボーナスと毎月の貯金額は以下の通りです。
15年 毎月1.4万+ボーナス5万(年2回×15年)
10年 毎月2万+ボーナス8万(年2回×10年)
5年 毎月3.5万+ボーナス19万(年2回×5年)
15年あれば毎月の生活費にそこまで影響なく教育費を準備できそうです。一方で5年で貯める場合は固定費などの見直しをしてできた余剰資金を全て教育費に回すような考えが必要です。
なお、児童手当を全て貯金した場合は約200万円になります。この200万円と上の計画で貯金した400万円があれば国公立大学に進学して下宿した場合・私立大理系学部に自宅から通った場合のお金もほぼまかなうことが可能です。
子どもの数が多くなるとこれらの金額を倍増していく必要があるので大変ですね。しかし15年計画であれば何とかなるご家庭も多いのではないでしょうか。
教育費は人生の三大支出に数えられるほど大きなお金です。子どもの将来のためを思うとなるべく希望をかなえたいと思う一方で、こうして金額を見るとその大きさにたじろいでしまいますよね。
金額は大きいですが、最初に書いたように必要になるまでに期間があるというのが大きな特徴です。
みなさんがなるべくお金の心配をせず、親子で納得できる進路選択をできるよう願っています。